野辺山に来た。
自身2度目となるスーパークロス野辺山。
ちなみに1回目は2013年で、それほど良い走りはできなかったので相性的な印象はよくない。
そしてこの大きなお祭り、シクロクロス自体の盛り上がりも感じてちょっと振り返りたくなった。
「オフロード」との出会い。
(2011 由良川)
それは2011年までさかのぼって、僕が大阪の地にやってきて半年ほど経ったとき。
「ロード一辺倒」と言って微塵も間違いのない自転車人生だった僕には、ストリートカルチャーもオフロードカルチャーも無く、特にオフロードは本能的に近寄りたくないぐらいだった。
2011年っていうタイミングは、国内でシクロクロスが爆発的に盛り上がる直前と言えるぐらいの時期かな?
「とりあえず乗ってみてよ!」と近藤さんから気軽な感じでイギリスのSingularというバイクを乗らせてもらえる話を頂いたのが僕のオフロードの始まりである。
初レースのレポート、そして同レースに参加していたTKCproductionsのテイスケさんのレポートを今振り返ってみても面白い。
オフロードでビンディングシューズすら恐かった自分はスニーカーで走り、トップから遅れること3分の13位でゴール。テイスケさんは6位と上々で、実はこの時から未だシクロクロスのリザルト上で勝ったことがないので早く追いつきたいと常々思っていたりする。
(2012-2013 堺)
最初の11-12シーズンは先の由良川のレースに出て、堺にも出たけど全然ダメだった。笑
翌年12-13シーズンからムーブメントジャージでレースデビュー。くろんど池で目標の3位入賞を果たして、堺で昇格するための段取りは整った。
念願の地元レース堺ではロード用のRolfのカーボンまで投入してC3で優勝することができた。写真はシクロワイアードに掲載されたやつ。
(その時2位だった井上君をトレーニング指導してプロツアーまで昇格させるとは微塵も思わなかった)
(2013-2014 マキノ高原)
C2に昇格して浮かれていた自分に現実を突きつけられたシーズン13-14。
そもそもオフロードをしてこなかったのは何故か?
興味が無いからではない。それは自分が絶対に苦手だと本能的に感じていたから。
C3レベルでは自分程度のパワーでもなんとかなったが、C2からはそう簡単にはいかせてくれない。
(2013-2014 野辺山)
「シクロクロス」というものは、誰でも楽しむことができる自転車イベントだと思う。
しかし、マウンテンも含めて上を目指す者に突きつけられることが何となくある。
オフロードは実力を騙すことができない。
無論、オンロードよりも体力が消耗するのがまず第一。
ロードバイクのように集団を利用して体力を休めることもまず出来ず、休めるようになるにはコースを上手く走るテクニックが無いと体力を消耗するばかり。
基本的に周囲の中をうまく立ち回ってロードを走っている自分からすれば、「体力が無いのがバレるではないか!」という状況。
そして目まぐるしく変わる路面状況、砂、砂利、泥、草。
バイクのセッティング、例えばタイヤの空気圧をどの程度にするかで天と地ほどの差が出てしまう。
オフロード経験の浅い自分には毎戦が手探りだった。
荒れ狂う路面でもバイクをコントロールするフィジカルが求められる。
体力(フィジカル、パワー)、頭脳(判断力、精神力)、技術、機材。
自転車に求められる全ての要素が必要とされてしまうのがオフロード競技なのだと思う。
だからこそオフロード出身の選手は基本的に強い。
自分が弱いことをわかっていたからこそオフロードに踏み入れることができなかった。
(2013-2014 桂川)
現実を受け入れられないレベルで不振だったC2初シーズンは、C3降格すら濃厚だった。
相性が良いのかわからないが、最終戦の桂川で1発で残留が決まるというミラクル。
レースに出るからには最善を尽くしたいと思う性分から、ホリさんのバチバチに組まれたカーボンフォークのExtarprotonを借りて出たのだけれど、めっちゃ良かったのはレースのリザルトも物語っているような気がする。ロードでもシクロクロスでもなんて気持ち良く進むのだろうか。
使わなかったシンギュラーに心が痛みながらも、機材に対する探求も深まってくる。
14-15シーズン開幕前夜あたりで新しいバイクを組み上げた。こっちのブログで紹介するのは初めてだったかもしれない。
MADE IN USAのカスタムビルドフレーム。
ナイトーさんから紹介を頂いて自分用に1本オーダーさせてもらった1本。
これもまた、自分には勿体ないぐらいの綺麗なフレーム。
しかも、現地のチーム"Stampede"のカスタムカラーというフレーム。もちろん他に日本人ライダーが所属しているわけでもなく、日本にこのカラーリングを乗っているのは自分しか居ない。
この幸福感も感じつつ、この貴重なフレームに乗れることが少しプレッシャーでもある。笑
そして最後に紹介すると、MADE IN USAだからと言ってオーダーが難しいことが全く無い。
何故ならばビルダーのNaoさんは日本人であるから!もちろん日本語でやりとりができる。
日本人らしい(その中でも特に人間性を感じる)繊細なフレームビルディング。
正直なところ、他の日本人ビルダーを見てもここまで"美"と"機能"を感じさせてくれる人はいない。
(2014-2015 岬町)
ニューバイクにはテイスケさんがサポートしてくれたGevenalleのコンポーネントを付ける。
こちらからTwitterで使わせて欲しいとアピールしたところ、奇跡的にサポートしてもらうことができた。ありがとうございます。
軽さやトラブルの少なさ、そしてフレームに見合うカッコ良さを考えていたらたどり着いた結論がそのギブネール。賛否両論のあるシフター構造だけど、自分にはとても合っていてサポートしてもらう前よりも格段に気に入って使っている。
どうしてもシルバーのクランクを付けたかったので、それに似合う貴重なレバーでもある。
(2014-2015 桂川)
ニューフレームにニューコンポ。
そんな恵まれたシーズンであったにも関わらず成績は全く振るわず良い所なし。
ろくにレポートを提出できる内容すらない。
そんな自分に対してナオさんもテイスケさんも苦言すること無くシーズンが進む。
プレッシャーしかない。笑
前シーズンと殆ど変わらない残留権が中々取れない展開の中、結局また桂川で1発残留を決める。2年連続なので「もう桂川だけでいいやん!」、「ミスター桂川」とまで言われ始めるなど。
追い詰められたので"寒くてもレースでは半パン"等のこだわりは目をつぶり、ネックウォーマーまでして走った。
タイヤも泥でグリップが強すぎたWTBのタイヤではなく、フロントだけパナレーサーのCG CXのクリンチャーで走るなど兎に角こまかい事までこだわった結果があったと思う。(リアはWTBのまま)
その後のさぬきクロスではC2で表彰台目前の4位になって、気持ちよくシーズンを終えた。
ランダムで選ばれたスタートリストではゼッケン203。最前列スタートだ。
この方まだC2で前列スタートをしたことがないので、無駄にプレッシャーを感じてしまう。
シード権が無いので、いつも後方から追い上げるばかりのレース。
先頭から出たらどれだけ楽にレースが走れるだろうか?
いきなり表彰乗ってしまうだろうか?と妄想ばかり膨らむレース前。
「ゼッケン順だから落ち着いていっても大丈夫」という謎の過信から、レース直前にトイレに行っていたことが裏手に出てしまい、まさかの整列終了。最後尾スタートが確定してしまう。
念願の先頭スタートチケットは消え去り、結局いつもの状況。
逆にプレッシャーは吹き飛んで消えたかも知れない。
SAUCE DEVELOPMENTのチームメイトである愛知のコジマ君も最後尾スタートだった。
一緒に頑張ろうと話ながら、いざスタートしたらパワフルに集団を縫ってどんどん順位を上げていく。もちろん僕はそれは見守りながら自分のペースをキープしてサヨナラ。
コジマ君は見えないところまで順位を上げていった。
あまりにも多い声援。
愛知のサークルズのメンバーや、SNSでのいろんな知り合いが「頑張れ!」よりも「何やってんだ!」、「本気出せ!」など激を飛ばしてくる。
余程酷い罵声でなければ声援をもらえるだけで頑張れる性格なので、楽しくて仕方が無い。
ここまでニヤけて走っていたシクロクロスは初めてかも知れない。
本当にレース直前までタイヤの空気圧などは迷った。
得意の舗装路で勝負するために高めで行くか、苦手なデコボコを走りやすくするために低圧でいくか。とにかく迷った。
2気圧を切る低圧にすると、チューブレスのエア漏れのリスクも高くなるから不安材料は多い。
適当に決めたけど、多分1.6気圧ぐらいで最終的に決まった。
舗装路よりもコーナーやデコボコの方が多いから、そこをなんとかしなければならないと。
前回の野辺山はフライオーバーでやらかしてしまいレースをダメにしたが、今回はそうならないパーツアッセンブルになっているから安心して突っ込めた。出口のところが走りやすくなっていたのもあって落車する人も少なかったね。
マイペースで順位を上げながら、ガッチュさん、間野さん、ブルーラグの人らを抜いていく。
すると先にはシャカリキ京都のオグーさん。何かと人気のあるオグーさんは憧れの対象でもある。
しんどそうだったので「今日は調子が悪いのかな?」と思いながら数コーナーを経てパス。
今日はオグーさんに勝てたから良いか!って思ってしまう。
すると次にはSNSでの知り合いの浅香さんに追いつく。2年前の野辺山のゴールで競り合ったので、今回も負けるわけにはいかない!と内心思っていたり。
その更に先に進むと、一緒にスタートしたはずのコジマ君がいるではないか。
どうやら落車してペースが落ちていたみたい。だけど簡単に抜かせてくれるほど遅くもない。
むしろ低圧にしていたタイヤのおかげで、舗装路の上りであっという間に離されてしまう。
でも今回はタイヤの調子がすこぶる良かったのでオフロードであっさりと追いつくことができた。
前回の野辺山で散々苦戦していたコーナーも今回はかなり改善した走り。
それが何より気持ちが良かった。
バイクコントロール、体重移動、タイヤの選択、空気圧。
いろんな要素が重なり合いながら、それら全てが上手く回り始めているのを実感できた。
と言っても、試走でザック・マクドナルド選手の後ろを走っていたら見事にひっくり返ってしまったのでタイヤの空気圧だけでなくバイクコントロールなど色々と自信が無くなってしまっていたのだけれど。。。
結局最後1周半ほど抜いたり抜かれたりしながら最終コーナーに突入。
イン側から攻めたが、イン側はぬかるみもあってよく落車しているライン。
とりあえずスリップせずコーナーを抜ける、、
さぬきクロスの4位はスプリントで差し返された苦い記憶があったので、勝つべく若干ラインを塞ぎながら最後のストレートへ。。。
なんとかゴールは先着できて、チームメイトとのレースの中のレースに勝つことができ、しょうもない威厳を保つことができた。(実際は不明)
ゴール後に記念撮影。
ゴールしてみれば順位は25位と、64名出走から約40人ほど抜いて上がってきた様子。
ラップタイムも9:48、8:19、8:07、8:00、7:48と最終周に向かって全てタイムが早くなっていた。
もちろん後半になるにつれて渋滞が無くなるから走りやすくなるわけだけど、C2で3位に入った選手の最速ラップも7:40なので自分としてはかなり好感触。
野辺山のラップタイムが伸びてくるとは前回参加の時を思えば全くの予想外。
1年乗ってフレームの感触に慣れたっていうのもあるかも知れないし、自分の技術や経験が成長したのかも知れない。
どちらにせよ順位以上の手ごたえを感じることができた野辺山。
今回は走りの方にフォーカスしてしまったけれど、イベントとしてかなり濃い楽しいイベントであったことは一緒にいた人たちとは何も言わずとも共有できているのかなと思います。
苦手なオフロードを頑張ることは、自分の自転車全ての底上げにも繋がる。
そんな事を感じながら、僕の2015-2016シクロクロスシーズンの幕開けです。
0 件のコメント:
コメントを投稿