2017年4月4日火曜日

苦汁を舐める

ロードレースとは誰にでも等しくチャンスがある。そんな競技だと思う。
ただし、コースや環境は様々あって一概に括ることはできない。だけどそれが痩せた人間にも太った人間にも得手不得手を活かすことのできる万人に与えられたチャンスだと捉えることができる。
当然ゴリゴリな人たちは平坦が得意だし、細いタイプの人種はアップダウンのあるレースを好む。レースの順位も大きく入れ替わりがちになる。
本当に強い人たちは左右されずに上位に入るが、多くの人はそう簡単にはいかない。
僕はどちらかと言わずとも後者に分類されてしまうけれど、2008年に実業団登録をしてからというもの、出れるレースには出続けてきた。(月に1~2レースだけど)
「百聞は一見にしかず」
レースは聞いているよりも実際に見た方が面白い。

「百見は一考にしかず」
レースは見ているだけよりも、レース状況を考えた方が面白い。

「百考は一行にしかず」
レースを解説しているよりも、実際にレースに出てみた方が面白い。

「百行は一果にしかず」
レースはただ出るだけよりも、勝った方が面白い。

限られた生活の中で、その最後の項目まで到達できる人の方が少ない。レベルが高かったわけではないけど僕も少し味わったことがあり、それに至るための日常だったり、レースの展開だったり、そういった積み重ねが全て合わさりレースの結果と成る。
自分の身体を使ったゲームのようなもので、僕は経験を深めるほど楽しめるように感じている。
今回は大阪のホームレース、舞洲クリテリウムに参加した。
東京に住んでいた頃は苦手意識の塊だった舞洲クリテ。E1で走っていた時は2回に1回はDNFだった。ちなみに一番良かったのはE1で20位がベストリザルト。しょっぺぇ。

E2に降格して2年目の2016シーズン、某ポン選手の堺浜クリテの代走で走って何故か入賞してしまうという珍事があってから何となくクリテリウムの苦手意識が薄れたような気がした。レース歴10年程してようやくの開花。知らんけど。
その直後の西チャレB-3カテゴリーでチームで協力して展開して5位、春舞洲で5位、秋舞洲では服平君のアシストをしつつ5位と「5位入賞コレクション」を乱獲した。
登りの練習量が減って平坦化が進んでいるような気がしなくもないが、個人的にクリテリウムが上手く立ち回れるようになったことは嬉しい。そうやってボチボチ活躍した2016シーズンが終わり、2017シーズンは開幕した。
当然、周りから期待されるのはE1への昇格で僕自身も期待した。

だが、昨年までの走りでは芸が無い。出来ることしかやらないのは面白くない。(勝手に)某キリPに弟子入りして、ゴリ押しで走れるパワーの強化を今年の課題としてみた。
先ずは先頭引きゼロを無くすことから始めた。今のところレースでせいぜい1~2回の成功。岬町クリテリウムでは3回以上のペースアップアタックを行えたので少しの手ごたえを感じていた。
今回の舞洲クリテリウムにはネクストリームの池田、ジェイソン、金子各選手やデストラの2名、八ヶ岳の神野マンあたりは要チェック、他にも知り合いが多くひしめき合う組になった。知り合いが多いのは楽しい。練習もぼちぼちしたし、やる気はマックス。(ぼちぼちじゃなくて死ぬ気でやれ)

当日は風が少し冷たい感じでスタートを見送る前はSAUCEメンバーはそれぞれ震えていた。やっぱり細いと寒さと風に弱いのか。
致命的なことに一番好みのNAQIのウォームアップオイルコンペティションを持ってくるのを忘れたが、サンフジがスタートオイルを持って来ていたので借りて手足に塗りたくった。少しはマシになった。ありがたい。

スタートでは特に緊張感はなかったが、いつもよりもモチベーションの高さは段違いにあった。
舞洲ではレースの半分はウォーミングアップ、後ろで休んでこなして後半上げていくスタイルが昨年のパターン。今年はその走りは封印して、岬町クリテのように前で展開できればなと考えていた。一日たって振り返ってみると、無駄に仕上がりの良い脚と高すぎたモチベーションが失敗だった。

レースの序盤は十分に余裕があった。E2のコーナーはアウトに膨らみがちな上に立ち上がりも遅い。コーナーの途中で減速を要求される程に遅い。
E1で走っていた時の鋭い感覚でのコーナーリングと違い、他の選手の突っ込みや減速、ライン変更、膨らみを気にかけて曲がらなければいけない。

今回は出走が多く70名もいて集団が長い。前に上がりたいという気持ちが先走り、レース後半になるにつれて焦りが募っていった。

コーナーでは膨らむ選手を読み、インに人が突っ込んできていないことを確認して前走者が膨らんで空いたイン側から速度差を利用して抜いていく戦法。
それでもコーナーの脱出ポイントで立ち上がり速度が遅くて詰まっていることをしばしば感じて、イライラして直線でも踏んで順位を上げ、またコーナーでイン攻めしてくる人たちに道を譲ったりしながら順位の変動を繰り返す。

今までの自分であればこんなに無駄な動きはしてこなかったレースの立ち回り。レース中は平均速度が速かったから苦しいのだと感じていたが、終わってみれば全然速くないスピード。風の影響はあったかもしれないが、他のカテゴリー、組と比較しても決して速くないアベレージだった。
今回、コーナーでの集団の詰まり方は尋常ではなく恐怖だった。アウト側は楽だが落車リスクがめちゃくちゃ高い。イン側ならば自分が無理しなければ転ぶことはない安全地帯と感じていた。集団のコーナーリング中に膨らんではダメ、絶対。
レース中、イライラが募って普段はしない向かい風や追い風のストレートで踏んで抜いていくのを繰り返していたように思う。今冷静に振り返ってみると、無駄足だった。

焦って無理に上がろうとしていなければもっと終盤に足は残せていただろう。
いつもの自分ならば、もっと丁寧に、もっと綺麗に走れていただろう。
ラスト2周、集団は活性化してペースが上がる。昨年ならば先頭付近で展開していたはずだが、今回はもう足がほとんど残っていなかった。
第3コーナーに入った時の順位で上位に入るのは厳しいと悟り、最後の直線はスプリントせずにゴールを割った。
あんなにもレース中に不満が爆発していたのは久しぶりだったかも知れない。
でもそれは他の選手がどうというより、結局のところ自分の焦りが全ての原因なように思う。1日経ったらビックリするぐらい冷静にレースを振り返ることができた。

2017 JBCF舞洲クリテリウム春
E2-1 27位/70人

photo thanks
キクゾーさん、まーとさん、ようかんさん、犬速さん、シュンキ君、さかきん君、インディゴさん、など!

今回は自分のレースのミスを吐き出したかったので、また別のタイミングで「チームで走ること」についても書こうかなって思います。