2017年7月4日火曜日

聖域

今年もJBCF西日本ロードクラシックに参加してきた。
広島のコースは西日本チャレンジでもお馴染みのコースで、以前は経済産業大臣旗や全日本選手権もこの同じコースで行われたこともある。
日本のロードレースではメジャーなコースのひとつだ。

きらら浜の優勝でE1にカムバックしたので、広島を再びE1で走らなければいけなくなった。しかもE1初戦が広島とは。
E1 ゲンタツさん Day2
同じくE1を走るゲンタツさんからは「広島は高橋さんとは相性の良いコースですよ」とコメントを頂くが、本音を言うと苦手意識の強いコース。
ちょうど1年少し前の西チャレのB-3にゲンタツさんとサンフジと3人で出て、二人に協力してもらって僕がなんとかスプリントで5位で入賞した経緯がある。その時は奇跡かと思った。

過去の広島のレースを振り返ってみたらこんな感じ。
2012 経済産業大臣旗 E1 35位/106名
2013 西日本ロード E1 61位/114名
2014 西日本ロード E1 45位/99名
2015 西日本ロード E2 44位/126名
2016 西日本ロード E2 45位/112名

その昔は雨で落車をしたこともあったし、レース終盤まで集中力を維持できたことがほとんどなかったコース。安定して下れて、パンチの効いた上りもこなせなければ勝負に絡むことが難しい。

広島と言えば足切りが「先頭から10分遅れ」なんだけど、10分遅れず最終周回へと入れれば完走させてもらえる。だから実は完走だけならそこまで難しくないのが広島。(JPTになると対極的に完走がめちゃ難しい)
Day1 E1を走るフクベ
今回は木島平を一緒に走ったアリマスさんとゲンタツさんの二人のモチベーションが特に高かった。それぞれ異なる目標を持っていたので、そこまでのモチベーションを持っていなかった僕は二人のサポートを最大限に行うことを目標にモチベーションを高めていった。性格的に、自分のためより誰かのためを思った方が馬力が出たりする。

二人にサポートをすると宣言して、宣言をしたからにはその責任は極力果たさなければならない。
ゲンタツさんの今回の目標は足のある序盤のうちにアタックを敢行することだった。それをより効果のあるものにするために、僕も一緒に動くという作戦を立てた。
集団中段から後方気味からのスタート。アタックを予定していたホームストレートまでに徐々にポジションを上げていかねばならない。

下りの苦手意識はまだあるものの、クロモリフレームに乗ってから下りの恐怖感はかなり薄くなった感覚がある。怒られるか怒られないかギリギリのラインで、下りと上り返しを使いながら徐々にポジションを上げていく。
その途中で問題発生。落車が起きる。
ほんの少し前を走っていた選手がコーナーでアウト側に吹っ飛んでいき、数名が巻き込まれて突っ込んでいった。
イン側に回避できたので巻き込まれずに済んだが冷や汗をかく。
集団は大きく分断され、中切れの先頭に立ってしまった。ここは協力を待つより自力で踏んだ方がいいと判断して間髪いれずに前を追う。
グルペットで完走を目指すゲンタツさん
その落車に追突しそうになり、コース外に回避して事なきを得たとのことだったけど、開始2kmほどでゲンタツさんが先頭集団からドロップしてしまい例の作戦は出来ずに終わってしまった。残念。レース後、とりあえず身体も機材も無事でほっと一息。
初っ端から足を使わされる羽目になり、なんとか先頭集団に合流した自分。そこにはアリマスさんの姿がまだある。まだ余裕そうだった。自分は一杯一杯で三段坂と展望台を1周目からなかなかの辛さを感じながら登らざるを得なかった。レースを最後まで戦える自信がその段階でかなり減って気持ちが折れそうになりはじめてしまった。

二周目。
先頭集団に居れば余計な足を使わずに下りをこなすことができる。
広島の先頭から20~30番手までには聖域のようなものがあり、特にE1は整然としている。今までずっとその聖域を眺めてきた。レースに加わっていない(くっ付いているだけの)自分が混ざることは邪魔であり、気が引けるので眺めることしかできなかった。
今回もその状況に近かった。

2周目の三段坂に差し掛かり厳しさを感じるがまだ耐えれる。
するとその途中、後ろで落車発生。僕は振り返る余裕もなく前に食らいついていった。レース後に知ったがそれは恐らくアリマスさんだった。
 哀しいかな、フクベDNS、アリマスさん落車、ゲンタツさん離脱とE1にいたメンバーが僕を残して全員が脱落してしまう結果に。重なった不運はどうしようもない。こういう時もある。

残された僕は残されたことにも気付かずに先頭グループに食らいついていった。
しかしアタックのかかった2周目の展望台で千切れる。その時心拍数192とこの日の最高値が出ていた。幸いにも他に数名バラけていたので、なんとかそれには乗っかることができた。
展望台を過ぎて下り基調の中で皆諦めない様子で必死に回していく。
ホームストレートに3名程で上がっていったところで、なんと先頭グループがスローダウンしているのが見えた。

下りに入ってしまっては追いつけない。その前に追いつかねばと思い、心拍170フラット程まで落ちていたところからひと踏ん張りして先頭グループに追いついた!その時再び心拍は190を示していた。笑
広島では一度遅れてしまえばカムバックはほぼ難しいと思っていたけど、復帰することができてなんとも嬉しい気持ちになった。
コース前半の下り基調なセクションは集団に入りかなり休むことができた。その3周目は集団のペースも少し落ちていて、心拍数も一番回復できる周になった。

周りには強豪選手がたくさんいた。寺崎、岩島、岩崎、前田、河賀、大町、日野、高橋、雑賀、海藤、ITさん、レース前にチェックしていたメンツはほぼ揃っていた。
その中に自分がいることがとても不思議で、とても申し訳ない気持ちで、でも嬉しい気持ちもあって。
ローテーションの流れに身を任せながら集団で走っていたら、自分が先頭に回ってくることもあった。広島のコース、E1で先頭走ったことあったっけな?と思いながら流れを遮らないように気を付けて走る。

3周目の坂は思ったより楽にクリアすることができたが、まぁ足はかなり限界がきていた。
最終周は頑張れるところまで頑張っていこうと走る。
残念ながら最終周の三段坂のペースアップは見送ることしかできず、ここでサヨナラ。
あとは単独でペースを維持してゴールへと向かった。
誰かを抜くことも抜かれることもなく残りのコースを走り切った。

2017 西日本ロード E1 26位/107名
先頭からタイム差1分27秒 ave39.1キロ

周りのレベルの変化はあるにせよ過去のリザルトと比較しても一番走れた広島だったように思う。少しだけではあるけど、聖域に片足が入りかけたことは何よりも収穫だった。
来年に向けて頑張るための記憶を作ることができた。頑張りたい。